くせ毛考察編

【くせ毛考察編02】くせ毛の原因は頭皮の老廃物なのか?

ここでは、くせ毛の原因が「頭皮に老廃物が溜まったため」という理論について検証します。

頭皮に老廃物が溜まったため

さて、もう一つのくせ毛の原因に、J-warkなどの美容室や頭皮研究家のやすっ〇氏や主張する「頭皮に老廃物が溜まったため」というものがあります。

▲頭皮に老廃物が溜まってくせ毛になるメカニズム(引用:J-wark)

くせ毛に悩み、ネットであれこれと調べ回った方は、恐らく目にしたことがあるでしょう。

彼らの主張は、頭皮に老廃物が溜まってコブができ、それにより毛穴が塞がれたり、ねじ曲げられたりし、まっすぐ生えてくるはずの髪がうねってしまうというものです。

くせ毛で悩む方は、「そんな訳あるはずが…」と思いつつ、どうにも出来ない自分の髪質の現状に、この理論を信じる以外、道がなくなってしまうのです。

果たして、頭皮に老廃物が溜まり、それが影響してくせ毛になるのでしょうか?

思春期になると老廃物が一斉に溜まるのか

先に述べた通り、くせ毛はほとんどの方が、思春期になると一様にして現れ、頭髪のすべてが一斉にうねり始め、その後、くせ毛が治ることはほとんどありません。

それでは、くせ毛になった人たちはみんな、思春期になったと「同時に」、「頭部の全体に」対して均一に老廃物が溜まり、一生それが「流れ出ることはない」のでしょうか?

当たり前ですが、そんな訳はありません。

万が一、老廃物が溜まったとしても、溜まる時期は個人個人でバラバラになるはずですし、溜まったとしても頭皮の一部分だけでしょう。

そして、いつかは老廃物が流れ出たりすることでしょう。

頭皮は老廃物が溜まりにくい

そもそも老廃物とは、頭皮や毛包などの細胞の代謝産物として排出された二酸化炭素や窒素化合物、アポトーシスを迎えた細胞の残りカスなどのことです。

これらの代謝産物は、頭皮を流れる毛細血管や毛細リンパ管により回収され、静脈に流れ込み、最終的には尿や汗、便や呼吸として排出されます。

また、死んだ細胞はマクロファージに貪食されたり、表皮の角化細胞は垢やフケとして剥がれ落ちたりします。

確かにリンパ管の流れは非常にゆっくりですが、頭部のリンパ液は重力により自然に下方へと流れやすい性質があるため、老廃物が極端に溜まることはありません。

万が一、老廃物が溜まって毛包を圧迫するなら、毛包は皮下組織に埋まっているため、皮下脂肪が溜まっても毛包を圧迫しくせ毛になるはずです。

痩せている人が直毛で、太った人がくせ毛でしょうか?

正直、この理論は間違っていると言わざるを得ません。

くせ毛が改善しても頭皮のでっぱりがある

頭皮研究家やすっ〇氏は、自身もくせ毛で悩み、頭皮マッサージをすることでくせ毛を改善させたと、ビフォーアフターの写真まで載せて紹介しています。

私も、研究の結果、頭皮マッサージには僅かながらくせ毛改善効果があることを実感しました。

そのため、彼の意見が間違っているとは言いませんが、頭皮マッサージによるくせ毛改善効果は、老廃物を流した影響ではありません。

その証拠に、彼はくせ毛が改善した今でも頭皮のブヨブヨがあると述べています。

頭皮の凹凸は頭蓋骨の形状にすぎない

くせ毛に悩む人なら気付いているかもしれませんが、頭を触ってみて、頭皮が盛り上がっている部分から生えている髪の毛は、多少くせが強くなっているのを感じるでしょう。

やすっ〇氏は、「その膨らんでいる部分には老廃物が溜まっていて、この老廃物をほぐして、流してやればくせ毛は治る」と語っています。

なかなか的を射ている意見だとは思いますが、残念ながらこの膨らんでいる部分は老廃物ではなく、単に頭蓋骨が出っ張っているだけです。

頭蓋骨はいくつかの骨からなり、頭蓋縫合という接合部分を中心に脳の発育に伴って成長しますが、その際に凸凹が生じ、誰でも綺麗な円形状になることはありません。

頭蓋骨の出っ張った部分では、成長の遅い皮膚が引っ張られることで、内部の毛細血管が圧迫され、その部分の血行が悪くなります。

その結果、老廃物のように感じる頭皮のコブの部分では、髪の成長が悪くなり、くせ毛や薄毛になるのです。

アカゲザルの頭皮の緊張状態の実験

頭皮の緊張状態がどのような影響をもたらすかについて、アメリカでアカゲザルを用いた実験があります。

アカゲザルは人間と同じようにオスが禿げる特徴を持ちますが、アカゲザルの頭皮を摘まんで固く縫い寄せ、頭皮を突っ張らせた状態にします。

すると、2~3か月後に両側側頭部の毛が薄くなり、やがて禿げてしまいました。

その後、頭皮を縫い合わせた糸を解くと、圧迫された毛細血管が解放され、血流が回復し、再び毛が生え始めたのです。

この実験から分かることは、頭皮が緊張状態になることで毛細血管が圧迫され、毛髪の成長を阻害してしまうということです。

その結果、薄毛になりますが、これはくせ毛にもいえることです。

男性の頭蓋骨は成長が早い

さて、男性の頭の大きさは、女性のそれに比べるとかなり大きくなっているはお分かりでしょう。

それは、女性の頭蓋骨の成長は、エストロゲンの分泌の影響で途中で止まるのに対し、男性の頭蓋骨はそれ以降も成長し続け、40歳でピークを迎えるからです。

一方、頭皮の成長は男女とも22~23歳で止まってしまいます。その結果、男性の頭皮は頭蓋骨に引っ張られることになり、毛細血管が圧迫され血行が悪くなりやすいのです。

この頭皮の緊張状態が、男性にくせ毛や薄毛が多い原因の一つでもあり、先に説明したくせ毛の原因である「頭蓋骨が大きくなったため」に繋がります。

そして、男性でも特に頭が大きい方は、頭皮が引っ張られやすく、くせ毛や薄毛になりやすいのです。

逆に言えば、頭蓋骨の成長が早く止まってしまう女性は、頭皮の緊張が少ないため、髪が直毛になりやすいといえるでしょう。

また、先天性の遺伝により頬骨の形成が欠損し、顔面が変形するトリーチャーコリンズ症候群などの方は、全体的に頭蓋骨が小さいため、髪質がサラサラな方が多いようです。

着目点は間違っていない

J-warkなどの美容室や頭皮研究科のやすっ〇氏は、頭皮に膨らんでいる部分があり、ここから生えている髪は特にくせが強いことに気付いていたはずです。

そして、その膨らんでいる部分は頭皮に溜まった老廃物だと推測し、それを流せばくせ毛も治るだろうという理論に行きついたのでしょう。

その着目点は素晴らしいといえますが、その出っ張りは老廃物ではなく、その下に広がる頭蓋骨の凹凸であるため、頭皮マッサージなどの手法では対応することができないのです。

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