基礎知識編

【基礎知識編01】細胞とは

さて、ここからは【基礎知識編】として、生物を構成する基本単位である細胞の構造について大まかに解説します。

細胞とは

細胞は、生物を構成する基本単位であり、生物になり得る最小単位でもあります。

すべての動物、植物、菌類などの生物は細胞から成り立ち、一つの細胞だけで生きているものを単細胞生物、我々人類のように複数の細胞が集まった生物を多細胞生物と呼びます。

人体を構成する細胞の数は現在では37兆2000億個と言われていて、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、骨細胞、線維芽細胞、血球など、その種類は270種にもなります。

細胞の大きさは1mmの1/100の10μmほどですが、組織によって大きさは異なり、最も大きな細胞は卵細胞で、ヒトでは直径140μm(0.14mm)にもなります。

スーパーで売っているニワトリのタマゴも、無精卵の場合は細胞分裂が進んでいないので、あの大きな黄身の部分が一つの卵細胞なのです。

▲細胞の構造(引用:MSD製薬)

細胞は細胞膜という二重の膜で覆われ、内部に遺伝情報を持った核を持ち、周りを細胞質基質(サイトゾル)という液状成分が満たしています。

細胞内には、粗面小胞体、滑面小胞体、ゴルジ装置、ミトコンドリア、リボソーム、リソソームなどのさまざまな細胞小器官が存在し、それぞれの役割を担っています。

細胞小器官とは、細胞内で特定の機能を持つ構造物のことです。

核の構造

核(細胞核)は、生命の設計図とも呼ばれるDNAを備えた細胞の司令塔です。

核は、核膜と呼ばれる二重の膜で覆われ、そこに核膜孔という穴が100~1000個ほど開いていて、ここを通して様々な物質が出入りします。

▲核の構造(引用:biologydictionary)

核の中には核小体と呼ばれるものがあり、rRNA(リボソームRNA)を作り、それがタンパク質と結合することでリボソームになります。

そして、その核の内部を埋め尽くしているのが、紐状の物質であるDNA(デオキシリボ核酸)で、平均3.3cm、合計46本も詰め込まれています。

このDNAが遺伝情報を持っていて、それをもとにタンパク質が合成され、各細胞小器官の働きを統制することで、細胞の形や質を決めていきます。

つまり、DNAに親から受け継いだくせ毛に関する遺伝子があると、これをもとにケラチンタンパク質が合成されるため、くせ毛として現れるのです。

リボソーム

リボソームは、遺伝情報をもとにタンパク質を合成する小さい粒子です。

▲リボソームの構造(引用:ThoughtCo)

リボソームは、核の中のDNAを複製したmRNAをもとに、tRNAが運んできたアミノ酸を配列し、ATPを利用して次々と結合することによりタンパク質を合成します。

つまり、ここでケラチン、コラーゲン、ホルモン、酵素、神経伝達物質など、体を形作ったり、恒常性を維持するためのあらゆるタンパク質が作られているのです。

リボソームは粗面小胞体の表面に付着していて、そこで作られたタンパク質は細胞膜に埋め込まれたり、細胞の外に放出されたりします。

一方、細胞質基質中に散らばっているリボソームもあり、こちらは細胞内で働くタンパク質を合成します。

小胞体

小胞体には「粗面小胞体」と「滑面小胞体」があり、リボソームで作られタンパク質をゴルジ装置へと輸送するなどの機能を担います。▲粗面小胞体と滑面小胞体の構造(引用:Encyclopedia Britannica)

粗面小胞体は、核の周りを囲うように存在し、核膜と繋がっている平べったい層状の構造が何層にも積み重なった器官で、表面にはリボソームが無数に付着しています。

粗面小胞体は、リボソームで作られたタンパク質を集めて「輸送小胞」という袋を作り出し、それが粗面小胞体から切り出されて、ゴルジ体へと輸送されます。

一方、滑面小胞体の表面にはリボソームの付着はなく、コレステロールやステロイドホルモンの合成や分解、カルシウムの貯蔵などを行います。

そのため、精巣、卵胞、肝細胞などに多く存在します。

ゴルジ装置

ゴルジ装置(ゴルジ体)は、タンパク質の仕分け作業を行う流通センターです。

▲ゴルジ装置の構造(引用:Shutterstock)

ゴルジ装置も膜に囲まれた平べったい層状の構造をし、内部は空洞になり、粗面小胞体から運ばれた輸送小胞が繋がると、内部のタンパク質をゴルジ装置内に放出します。

そして、ここでタンパク質の仕分けが行われ、タンパク質に糖鎖をくっつける「糖鎖修飾」や、不具合で正確に合成されなかったタンパク質を分解に回したりします。

正常に作られたタンパク質は濃縮されて輸送小胞や分泌小胞に包まれ、細胞膜まで運ばれて、細胞膜に埋め込まれたり、細胞外に放出されたりします。

ミトコンドリア

ミトコンドリアは、細胞の活動で必要なエネルギー源を作りだす生産工場です。

外膜と内膜という二重の膜からなり、内膜がところどころ内側に陥入した「クリステ」と呼ばれる構造を作り、内部の空間をマトリックスと呼びます。

▲ミトコンドリア構造(引用:Shutterstock)

食事で得られたブトウ糖(グルコース)は血液によって細胞内まで運ばれ、細胞質基質でピルビン酸へと分解された後、ミトコンドリアへと運ばれます。

そして、ミトコンドリア内では血中から取り込んだ酸素を利用して、ATP(アデノシン三リン酸)を生成し、同時に二酸化炭素が生成されます。

ATPは、細胞のさまざまな活動で使われるエネルギー源であり、筋肉を動かしたり、タンパク質を合成したり、体温を維持するための発熱などにも使われます。

つまり、口から食べた「食事」と、口から吸った「酸素」により、人間のエネルギー源を作り出している重要な部分なのです。

また、精巣や卵巣のミトコンドリアでは、コレステロールを取り込んでステロイドホルモンの前駆体であるプログネノロンを作りだし、その後、性ホルモンに合成されます。

細胞膜

細胞膜は細胞の内と外を隔てる膜で、細胞を出入りするさまざまな物質の管理をする役割を果たします。

▲細胞膜の構造(引用:biology dictionary)

細胞膜は2本のマッチ棒のような形をしたリン脂質から出来ていて、頭の部分が親水性、足の部分が疎水性で、親水性の頭を細胞の内外に向けて2層に並んでいます。

細胞膜には、栄養素などを通す「輸送体」、イオンを通す「イオンチャネル」、信号を受け取る「受容体」などのタンパク質が埋め込まれ、水やイオン、栄養素などを通過させます。

また、細胞骨格と結合して細胞膜を固定するタンパク質や、隣の細胞膜と結合するタンパク質なども埋め込まれています。

また、細胞膜は、他の輸送小胞などの膜と融合することができ、小胞内部のタンパク質などの物質の輸送を管理します。

細胞質基質

細胞質基質は、細胞内を埋める水を主成分とした液状物質です。

▲細胞の内部と細胞質基質(引用:Biology Wise)

細胞質基質中には、上で紹介した細胞小器官以外にも、リボソームやRNA(リボ核酸)、血液から運ばれてきたアミノ酸やグルコースなどが無数に存在しています。

また、細胞の形を維持するための細胞骨格が張り巡らされ、細胞骨格は細胞自身の運動や、細胞内での物質の輸送などにも関わります。

組織とは

さて、細胞はそれ一つだけで機能する場合もありますが、多くの場合、同じ働きをする細胞が無数に集まって特定の働きを担っていて、その単位を「組織」と呼びます。

そして、異なる働きをもつ「組織」が集まって「器官」を作り上げ、異なる働きをもつ「器官」が集まると、多細胞生物という「個体」、つまりヒトが出来上がります。

▲組織の種類(引用:かずひろ先生の徹底的国試対策解剖学)

動物の組織は4種類に分けられ、体表面や消化管の内表面を覆う「上皮組織」、運動を行う「筋組織」、刺激を受容する「神経組織」、組織を結合して体を支持する「結合組織」です。

皮膚は表皮である上皮組織と、真皮と皮下組織である結合組織からなり、毛組織の場合は、毛幹と毛包は「上皮組織」で、毛乳頭、結合組織性毛包は「結合組織」になります。

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