ここでは、情報伝達を行う神経線維について、その基本部分を解説します。
神経とは
神経とは、身体の情報伝達を行なうシステムのことで、神経細胞によって行われます。
▲神経系の分類と伝達経路(引用:看護roo!/改)
神経系には、全身に対し指令を送る役割を担う脳や脊髄の「中枢神経系」と、その中枢の情報を身体の各組織に伝えたり、中枢に情報を送ったりする「末梢神経系」に分類されます。
末梢神経系は、さらに皮膚感覚や筋肉の動きなど、自分で意識ができる「体性神経系」と、内臓などの動きを司り、無意識で働く「自律神経系」に分かれます。
末梢神経で、身体の末梢組織からの受け取った信号を脳や脊髄などの中枢に伝える神経を「求心性神経」、逆に中枢の命令を抹消に伝える神経を「遠心性神経」と呼びます。
求心性神経である感覚神経が、感覚器で受け取った刺激を中枢神経に伝え、中枢神経系がその情報から的確な判断を下し、遠心性神経である運動神経や自律神経に指令を伝えます。
運動神経が指令を受けると、骨格筋などの効果器を動かして体を動かし、自律神経が指令を受けると、心筋や平滑筋などを動かすことで、内臓の働きを調整するのです。
神経細胞の構造
神経細胞は「ニューロン」とも呼ばれ、核を持った細胞体から多数の樹状突起と、一本の長い軸索突起(軸索)を伸ばしている細胞で、長いものは1m以上にもなります。
▲神経細胞の構造(引用:看護roo!)
軸索突起は一般的に「神経線維」と呼ばれるもので、髄鞘という絶縁物質で覆われている「有髄線維」と、髄鞘がない「無髄線維」があります。
軸索突起の先端は複数に枝分かれしていて「神経終末」と呼ばれ、他の神経細胞や筋肉などの効果器と、「シナプス」という特殊な構造で接続しています。
また、細胞体ではさまざまな神経伝達物質の合成を行い、シナプス小胞と呼ばれる袋に包み、軸索を通して神経終末へと輸送し、シナプス部分で待機しています。
神経細胞は、樹状突起の部分で電気信号を受け取り、軸索上を流れて神経終末へと運ばれ、そこから他の細胞などに神経伝達物質を放出することで、情報伝達を行います。
自律神経系
末梢神経の一つである自律神経は、交感神経と副交感神経があり、内臓などに接続していて、内臓の働きを無意識に、自律的に調節しています。
中枢神経から出た自律神経(節前ニューロン)は、神経節と呼ばれる部分で次の神経細胞(節後ニューロン)とシナプスで接続し、節後ニューロンが効果器に接続します。
▲自律神経系とその働き(引用:公益社団法人「小さな親切」運動本部)
中枢神経から交感神経に情報が伝わると、節前ニューロンの末端からはアセチルコリンが分泌され、節後ニューロンの末端からはノルアドレナリンが分泌され、効果器を制御します。
一方、中枢神経から副交感神経に情報が伝わると、節前ニューロンの末端からも節後ニューロンの末端からもアセチルコリンが分泌され、効果器に情報が伝えられます。
交換神経と副交感神経はほとんどが同一器官に接続していて、その器官の働きを促進させたり、逆に抑制させたりすることで、互いに正反対の働きを担います。
交換神経は、「闘争か逃走か」と呼ばれる、戦闘モードや緊張状態の時に働き、逆に副交感神経はリラックスしている時などの安静状態で働きます。
たとえば交感神経が興奮すると、心拍数や血圧を上させ、瞳孔が開いて緊急時の対応に備え、逆に副交感神経が活性化すると、心拍数や血圧を下げ、休息モードに移行するのです。
神経細胞の形状
神経細胞は、細胞体から伸びる神経突起(軸索突起、樹状突起)の数で4つの形状に分けられます。
神経細胞の種類
・単極性ニューロン(細胞体から1つだけ神経突起が伸びている)
・双極性ニューロン(細胞体から2つ神経突起が伸びている)
・偽単極性ニューロン(細胞体から1つ神経突起が伸び、それが枝分かれする)
・多極性ニューロン(細胞体から多数の突起が伸びている)
▲神経細胞の形状の種類(引用:The University of Queensland/改)
単極性ニューロンは原始的な動物に見られ、ヒトでは胎生期に存在しますが成人に見られず、双極性ニューロンは網膜や内耳の平衡・聴覚器に見られます。
偽単極性ニューロンは感覚神経などで見られ、細胞体から伸びた軸索突起が先で枝分かれしていて、多極性ニューロンは最も一般的な形状で、運動神経などに見られます。
感覚神経の偽単極性ニューロンは、末梢側(皮膚など)と脊髄側の両方に伸びていて、末梢側の軸索突起の方が長く、一般的に末梢側の神経終末、脊髄側の神経終末と呼ばれます。
抹消側の神経終末が樹状突起に相当するため、皮膚などで受けた刺激が電気信号に変換されると、末梢側から軸索上を伝わり脊髄側の神経終末へと送られることになります。
神経線維の分類
神経細胞は、軸索突起に髄鞘の有無や太さなどの違いによって、直径の太い順から、Aα線維、Aβ線維、Aγ線維、Aδ線維、B線維、C線維と分類されます。
▲神経線維の太さや伝達速度の分類
A線維の4種類とB線維は髄鞘で覆われた有髄神経ですが、C線維は髄鞘がなく、無髄C線維と呼ばれます。
神経線維の伝達速度は、髄鞘があり、直径が太いほど早いため、Aα線維が最も伝達速度が速く、Aβ線維、Aγ線維となるに従って遅くなり、C線維が最も遅くなります。
骨格筋や腱の運動神経は早い反応が必要なため、Aα線維であり、感覚神経では、触れている感覚には早い反応が必要で、触覚や圧覚の線維はAβ線維になります。
また、痛覚(鋭い痛み)や冷覚ではAδ線維になり、痛覚(鈍い痛み)や温覚などでは最も遅い無髄C線維になるため、お湯に手を突っ込んだ時の反応が遅れるのです。