ここでは、人体の17%を占めるタンパク質について解説していきます。
人体の構成成分
さて、人体は37兆2000億個という膨大な数の細胞の集まりであり、その一つ一つの細胞を構成する成分が、人体を構成する成分ということになります。
ヒトは、その62%という大部分が水であり、タンパク質が17%、脂質が14%、無機塩類が6%、炭水化物(糖質)が1%、残りは核酸などからなります。
▲人体の構成成分(引用:大塚製薬)
水は、細胞内部の細胞質基質、血液中の血漿などの主成分であり、物質の運搬や化学反応の場として働くと共に、比熱が高いため、体温の急激な変化を防ぐ働きも担います。
タンパク質は、DNAの遺伝情報から作られ、筋肉、骨、皮膚、毛髪、臓器、酵素、ホルモン、受容体など、人体を構成したり、生体の恒常性維持に働く重要な成分です。
脂質は、細胞膜、ホルモン、核膜の成分になり、脂溶性ビタミンの吸収を促し、皮下組織にエネルギー源として蓄えられて、生体の保護や保温に役立ちます。
炭水化物(糖類)は、グルコースなどの単糖類と、それが多数結合した多糖類に分けられ、ATPとして生体のエネルギー源になります。
無機塩類は、多くは水に溶けてイオンとして存在し、細胞の浸透圧を調整したり、活動電位の発生に利用されたり、骨や歯、ヘモグロビンなどの成分となるものもあります。
膨大な種類のタンパク質
人体を構成する成分の中では、水が最も割合が高くなっていますが、次に割合が高いのがタンパク質です。
筋肉や骨、皮膚、臓器、血管、毛髪などの体の構造物や、血液、酵素、ホルモン、抗体、受容体など、生命活動で重要な役割を果たす物質も、すべてタンパク質からできています。
そして、タンパク質はすべてDNA上の遺伝子から合成されるため、親の遺伝の影響を大きく受け、体の構造が親に似て、健康状態も遺伝することになるのです。
身体のあらゆる構造、機能に関わるタンパク質は、非常に多くの種類があり、ヒトでは約10万種ほどになりますが、それを構成するのはわずか20種類のアミノ酸です。
アミノ酸は、遺伝子の情報により、ひとつずつ順番が決められ、それが100~400個ほど結合してポリペプチド鎖を構成し、それが折り畳まれてタンパク質になります。
その中で、たった一つのアミノ酸が異なるだけで、二次構造、三次構造に違いが生じ、全く別のタンパク質になるため、少ないアミノ酸の種類に比べて、タンパク質の種類が膨大になるのです。
タンパク質の種類
さて、タンパク質は約10万種類もありますから、組成や形状、働きなどの違いによって複数の種類に分類されます。
▲タンパク質の種類(引用:受験メモ)
まず、組成の違いでは、20種類のアミノ酸だけからなるものを「単純タンパク質」、リンや色素などアミノ酸以外の物質を含むものを「複合タンパク質」と呼びます。
構造の違いでは、球形をした「球状タンパク質」と、棒状の「繊維状タンパク質」、球状タンパク質の一つとして、細胞膜に埋め込まれる「膜タンパク質」に分けられます。
働きの違いでは、代謝などにかかわるものを「機能タンパク質」、細胞の構築にかかわるものを「構造タンパク質」と分類します。
さらに、機能タンパク質は機能ごとに、酵素タンパク質、輸送タンパク質、貯蔵タンパク質、収縮タンパク質、防御タンパク質、受容体タンパク質などにも分類されます。
タンパク質の形状による分類
さて、球状タンパク質は、ポリペプチド鎖が所々折れ曲がった丸い形をし、疎水基を内側に、親水基を外側に向けているため水に溶け、血液などに乗って代謝に関わります。
一方、繊維状タンパク質は、ポリペプチド鎖が何本も束になった構造で、側鎖を全て外側に向けているため水に溶けず、物理的、化学的に非常に安定しています。
▲タンパク質の構造上の分類(引用:NANOPDF Inc.)
そのため、球状タンパク質は、酵素やホルモン、受容体、抗体、物質輸送などに関わる機能タンパク質に多く、生体の恒常性維持に働く重要なたんぱく質です。
一方、繊維状タンパク質は、体の構造を作り上げ、細胞や組織、器官に強度を持たせる働きがあり、構造タンパク質に多く、体の構造を作り上げます。
ただ、実際は球状タンパク質のアクチンが連結して繊維状となって構造タンパク質を形成していたり、毛髪では繊維状のケラチンの間をケラチン結合タンパク質(KAP)と呼ばれる球状の構造タンパク質が埋めていたりと非常に複雑です。
そして、分類されたタンパク質には固有の名前が付けられ、単純タンパク質である繊維状の構造タンパク質が表皮や毛髪をなす「ケラチン」や皮膚の「コラーゲン」と呼ばれるものです。
つまり、ケラチンやコラーゲンというのは、10万種類あるタンパク質の一つの種類の名称であり、ケラチンやコラーゲンも構成アミノ酸の違いでさらに細かく分類されます。